阿蘇神社 御田植神幸式は通称「御田祭(おんだまつり)」といいます。阿蘇神社の御田植神幸式は、阿蘇神社例大祭の中で最も盛大に行われるお祭りです。4つの輿に阿蘇神社の12柱の神さまが乗られ、稲の育ち具合を見て回られる神事です。
醍醐味は?
阿蘇神社の御田植神幸式は、3つの魅力があります。
1.古式ゆかしい白装束の宇奈利たちが緑豊かな阿蘇の田園の中を歩む様子に、時代を忘れられるところ
2.神さまが乗っているとされる輿に近寄り、その下をくぐりながら、無病息災を祈れるところ
3.稲の苗をみんなで輿に乗せようと、気持ちを合わせる喜びを実感できるところ
2015年7月28日に行きました。直近で行われたのは、2018年7月28日です。毎年必ず7月28日に行われます。曜日は問いません。
10時 献幣式
11時30分 神幸式(行列が阿蘇神社を出発します)
12時30分 一の御仮屋 御田植祭
15時 二の御仮屋 御田植祭
17時 還御 御宮巡り 御田植式
神さまたちの先導役を務めるのが猿田彦命です。神さまが道中召し上がる食事も用意され、輿とともに運ばれるのがユニークです。神さまの食事を運ぶのは女性たちで、古式ゆかしい白装束に身を包みます。その姿が現代離れしており、神話の世界に迷い込んだような錯覚にとらわれます。阿蘇神社の御田植神幸式は、「阿蘇の農耕祭事」の一つとして、国の重要無形民俗文
化財に指定されています。神さまの移動に随行する祭りなので、阿蘇神社付近に新たに露店が並ぶということはありません。緑豊かな阿蘇の田園の中を、白装束に身を包んだ女性たちの行列が進むのを鑑賞するのが醍醐味です。
参加できる?楽しみ方は?
白装束の女性たちは「宇奈利(うなり)」と呼ばれます。宇奈利は14人います。いずれも頭の上に大きなお櫃を乗せています。そのお櫃には神さまの食事が入っていることになっていますが、行きは空です。仮屋でお供物を入れて帰ります。宇奈利だけでなく、早乙女も2人加わります。早乙女は緑色の上着を着て、馬に乗ります。花笠を被り、赤い脚絆を着用しており、華や
かです。地元の女子中学生や高校生から選ばれるようです。地元の小学生も参加します。小学生たちは、農耕作業を表す牛頭、田男、田女などの作り物を掲げて歩きます。4つの輿は、地元の若い男性たちが中心になって担ぎますが、近年は女性も担ぎます。輿の近くに行くことはもちろん、輿の下をくぐ
っても問題ありません。私も神さまのご利益を得たくて、輿の下をくぐってみました。地元の女性もけっこうくぐっていました。輿の近くに行ったり、輿の下をくぐったりすると、無病息災にご利益があると言われています。家族の健康を祈ってくぐっている人が多かったです。輿はしずしずと進むだくでなく、御仮屋では回ります。宇奈利、獅子頭、早乙女たちが集まり、その周囲を輿が時計回りに回ります。必ず時計回りです。回転する輿を
目掛けて、神職や参加者が稲の苗を投げつけます。これがこのお祭りの最大の呼び物です。稲の苗が輿の上にたくさん乗れば、その年は豊作と言われています。そのため、少しでもたくさん稲の苗を乗せようと、神職も懸命に投げ上げます。回転する輿にうまく乗せるのは意外と難しく、私も投げ上げましたが、うまく乗りませんでした。それを拾った地元の人たちが、懸命に
稲の苗を投げつけ、輿に乗せていました。豊作を願う人々の思いが一体化するのを実感できるイベントです。
アクセスは?
阿蘇市一の宮町宮地3083-1を目指して向かいます。お問い合わせ先は、0967-22-0064の阿蘇神社でよいかと思います。豊肥本線「宮地駅」から徒歩15分です。九州産交バス「阿蘇駅前」下車すぐです。熊本インターチェンジから車で1時間半ほどでしたが、熊本地震の影響がまだ残っており、国道57号で通行止めになっているところがあります。そのため、熊本インターチェンジからは2時間近くかかると見た方が無難です。
まとめ
阿蘇神社の御田植神幸式は、阿蘇の田園の実りを願いながら、自分も自然の一環なのだと改めて感じることができる祭りです。神さまの行列に付き従い、自分もいつしか普段とは違った空気を吸っているという感じにとらわれます。人間関係に行き詰まった時、気分をリフレッシュできるイベントです。