大蛇山が開催される福岡県大牟田市は、約20年ほど前まで石炭が採掘されていた街です。三池炭鉱という名前を聞いた方も多いと思いますが、ピーク時には人口30万を抱える大工業都市でした。しかし、炭坑が閉山した現在では、多くの人が街を出ていき、現在では10万人ほどの人口しかいなくなってしまいました。
大蛇山祭り、日程は?起源は?
さて、そんな大牟田市ですが大蛇山の時は一気に町全体が活性化します。7月28日、29日は、大蛇山はその名前の通り、大蛇に見立てた山車が煙や火の粉を噴きながら街を練り歩き、「よいさーよいやさー!」の掛け声に合わせて笛や太鼓を賑やかに鳴らします。
元々は三池と呼ばれる地域で、江戸時代までは龍神信仰に基づいて行われた小さな祭りだったようですが、人口の増加で都市化が進んだ結果、このように大きな祭りになりました。とはいえ現在でも、信仰の面は完全に失われたわけではありません。
大蛇山が終わったあと、大蛇を壊す際に左目を持ち帰って家に置いておくと福が来るとされ、今でも飾っている家があります。このため、大蛇山を壊す際にはまるで喧嘩のようにして左目を取り合っていたとされます。しかし、けが人や死者を伴ったこの目玉を取り合う行事は戦後に禁じられ、今では子供が引っ張る「ちびっこ大蛇」でしか行われていません。
大蛇山祭り、かませ?写真は?
イベントとしてはメインになるのは、祭りのフィナーレに行われる大蛇山集合パレードです。このパレードでは、13台の大蛇が一斉に大正町通りを練り歩きます。それらの大蛇は、いずれも市内各所の神社で作られています。その神社がある区ごとにチーム分けがなされ、そのチームごとにパフォーマンスを競い合います。
このうち「六山」と呼ばれる大蛇は、特に大きなグループであり、大蛇もその分派手に動きます。見どころとしては、フィナーレと言うことで全体的な派手さと壮大さもありますが、チームによって大蛇の動きや掛け声のリズムなどが若干違う点も見どころの一つです。
あるチームは物凄く派手に動きますが、別のチームは他と比べて静かで優雅に動かす、といったその神社の地域や歴史に基づいて動かし方が決まっているようで、これを比較するのもおもしろさの一つです。大蛇大集合以外のイベントとして、子供を大蛇の口もとに抱っこして持ち上げて食べさせようとする「噛ませ」というものがあります。
これによって子供の一年間の無病息災を願うそうです。他にも「1万人の総踊り」というものがあります。これは大牟田市内の市民団体や企業、老人ホームなどの職員などがそれぞれグループごとのユニフォームを着て大正町通りで踊り、そのパフォーマンスを競います。
踊りは勿論、大牟田が舞台なので「月が出た出た 月が出たのヨイヨイ」でおなじみの炭坑節です。大蛇山祭りは、この時だけ大牟田の人口が3倍になるといわれるほど、狭い範囲に人々が一気に集中します。したがって、出店がならぶ歩道は歩くのも一苦労で、人とはぐれたり、落とし物に気づかないこともしばしばです。
(以前は携帯電話を拾いました)小さなお子様をお連れの際はお気を付けてください。また、大蛇撮影の際は、あまりの人の多さからなかなか写真を撮るのが難しいので、自撮り棒を持参で撮影に臨まれると良いかと思います。ただし、周囲の方の迷惑にはならないようにおねがいします。
大蛇山祭り、駐車場は?交通規制は?
最寄り駅は、JR大牟田駅か西鉄大牟田駅です。どちらも大正町通りからは徒歩5分という極めて近い場所にあります。車の場合は、九州自動車道の南関インターチェンジより20分、有明沿岸道路の健老町インターチェンジより10分で着きます。しかし、当日大正町通りは歩行者天国となりますので、車の進入はできません。
会場に近い中友小学校、大正小学校、松原中学校が解放されるので、こちらに車を止めて頂くことになります。ただ、駐車場が不足する恐れは十分にありますので公共交通機関をご利用されることをおすすめします。福岡県大牟田市 大正町通り0944-41-2750