高森の風鎮祭は、肥後の「三馬鹿騒ぎ」の一つと言われています。気が滅入った時、馬鹿笑いして気分転換したいと思い、見物に行きました。造りもんが練り歩く「山引き」の行われるメイン会場が、自宅から車で約30分という位置だったことも、参加を決めた理由です。熊本県高森町は、南郷谷と呼ばれる地域の一番奥です。宮崎県に隣接し、独自の文化を育んだ土地で
花火はいつ?
す。風鎮祭は、高森町のイベントの中で一番有名なものです。1752年に始まった祭りと言われています。始まった時には、台風などから農作物を守り、五穀豊穣を願うお祭りでした。現在、風鎮祭を特徴づける「造りもん」は、町の商人が、農家の人たちを楽しませようと始めたと言われています。造りもんは、昆虫や動物をかたどったもので、材料はタワシやザルなど、
日用品です。祭りの後は、解体してまた使用するため、絶対に穴を開けることはしません。そのため、つなぎとめる工夫が巧妙になされています。造りもんは、地区ごとに作成され、毎年、10体ほどが出品されます。それらはトラックの荷台に乗せられ、町中を引き回されます。また、夜には飾り立てられた荷台の上で、「にわか」と言われる漫才のようなものが披露され
ます。にわかを演じるのは町の人たちで、仲良しグループで参加するのが習いです。即興の漫才で、衣装にもグループごとに趣向が凝らされています。毎年、8月の中旬に2日間行われます。2018年は8月17日と18日でした。造りもんは日中、にわかは夜町中を移動します。トラックはかなりゆっくり移動するので、万一近くに行っても怪我をする心配はありませんが、観客
は道の両脇に寄っているのがマナーです。2018年の造りもんで特賞を取ったのは、「ティラノザウルス」でした。胴体をザルで、尻尾や背中はちょうちんの脚で、恐竜らしい大きな舌は、植木鉢の受け皿で作られていました。そのように説明されなければ、材料が何か分からないほど、巧みにつなぎ合わされていました。私が気に入ったのは「柴犬」で、沢山のタワシが使わ
れ、柴犬らしい毛並みが表現されていました。ウチワを大量に使った「ダンボ」も人気を集めていました。高森町の風鎮祭は、南郷谷の夏の風物詩です。ゆっくりと移動する山引きや、夜のにわかの移動舞台は、阿蘇らしいのどかさが満喫できるイベントです。地元の子供たちによる演奏も行われ、子供が出演する家庭では、総がかりで見物に出ます。花火大会も小規模なが
ら行われ、夏休みも終盤が見え始めた頃のイベントで、子供たちは大いにはしゃぎます。熊本地震のあった年にも、8月19日20日に行われ、震災の痛みを一時的にも和らげてくれました。高森町は隣接する南阿蘇村ほどには被害が出なかったので、南阿蘇村の住人が、その年の祭りには見物に訪れました。子供踊りは初日の午前10時から。風鎮総踊りは初日の夕方6時から、
にわかは夜7時から、花火大会は8時から行われます。造りもんの山引きは2日目の午後3時30分から。にわかは2日目の夜も披露され、夜7時からです。夜8時からにわかのコンクールが行われます。2019年も8月17日18日に開催されます。画像はイメージです。
アクセスは?廃線?
会場は、高森町の町内、高森町観光交流センター周辺
お問い合わせは、0967-62-0274
高森町には、九州自動車道熊本インターチェンジから約70分で行けます。高森商工会の駐車場で20台無料で止められます。当日は臨時駐車場も用意されます。熊本地震の前には、南阿蘇鉄道で高森町の中心部「高森駅」に行けました。現在、南阿蘇鉄道は高森町と南阿蘇村の一部しか運行していません。廃線になるわけではありませんが、復旧の目処は立っていません。産交
バスの「ゆるっとバス」が南阿蘇鉄道が不通の間、肥後大津駅と高森駅をつないでいます。1日に6本運行しています。
まとめ
高森町の風鎮祭は、南郷谷の夏の風物詩です。踊りや花火大会があるだけでなく、「にわか」と言われる即興の漫才が町の人たちによって演じられ、笑いが絶えない祭りです。ユニークなのは、日用品を組み合わせて作った「造りもん」と言われるものが、トラックの荷台に乗せられて、町中を移動する光景です。江戸時代から続く行事で、当時の人たちの工夫が現代に至る
まで受け継がれています。夏の阿蘇は、蒸し暑い熊本市と違う空気が漂っています。高原の爽やかさが漂う南郷谷で、ちょっと昔風の和やかさが感じられる祭りが高森町の風鎮祭です。人間関係に疲れた時、ホッと息抜きできる空気があります。