わたしは福島県のいわき市出身で、現在は県外の大学に通っています。幼いころから毎年欠かさずに、いわきおどりを家族で見に行くのが、夏の恒例行事でした。
いわきおどりとは?由来は?いつ?
福島県いわき市の平地区で行われる「いわきおどり」は、全国的には全くと言っていいほど有名ではありませんが、市民にとっては毎年恒例の大きなイベント、夏の風物詩のひとつです。毎年、8月の初旬に開催される七夕まつりの最終日に、市内最大駅であるいわき駅前にて行われます。夕方の明るい時間から始まり、22時くらいまで大通りを参加者が踊り歩きます。
「いわきおどり」は、市制15周年を記念して創作、昭和56年10月に制定され、市民誰もが気軽に参加できる、市民共通の民謡民舞を創作しようと、3年あまりの調査研究を経て作られたものです
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いわきおどりの踊りは事前申し込み?当日もOK
踊るというより、練り歩くといったほうがいいかもしれません。チームごとに〇〇銀行、〇〇スポーツ少年団、株式会社〇〇といったプラカードをもって歩いているので、どこのチームがどんな衣装を着て歩いているかなどを見ているのはとても興味深いです。
企業や商店街からの参加者は法被姿が多いのですが、中にはとても豪華な衣装のところもあります。また、歩くのではなく本格的に踊っているチームや、独自の振り付けで華麗なダンスを披露するチームもあります。
わたしはおどりを見に行くというよりはむしろ、駅前大通りの端から端までを埋め尽くす出店の存在のほうが楽しみでした。といっても、買うものは例年大きくは変わらないので、出店新規開拓!が目標ではなく、夏の雰囲気を味わうことを楽しみにしていたのだと思います。
溢れかえる人混みではぐれそうになりながら必死で家族を追いかけるその日は、いつもは忘れがちな家族の温かさを思い出す日でもありました。
おどりの参加には事前申し込みが必須ですが、一般枠というプラカードをもって歩いている集団を毎年みかけます。一般枠には飛び入り参加が認められており、夏の雰囲気にのみ込まれた方々がおおいに楽しんで飛び跳ねています。おどりの参加者のなかに、知人友人を見つけてしまうのが、いわきおどりあるある。あの子あそこに参加してるんだーへえーとなります。大学が忙しくて帰省が間に合わず、最近はいわきおどりに行けていませんが、今年は行けるかな。見に行きたいな。
いわき踊りの歌や演奏は生音、歌詞はいわきのこと
いわきおどりでもう一つ楽しみにしていたことは、生の歌声が聞けるということです。当日は大きなステージが用意されており、舞台上で演奏される生のお囃子が特大スピーカーから大音量で聞こえてきます。
参加者たちはそのお囃子に合わせて練り歩くのです。作曲は三木稔氏、作詞と振り付けはいわき民謡民舞創作調査委員会。1番から12番まであり、いわきの名所や旧跡が歌詞に盛り込まれています。
1、いわき七浜 太平洋を 抱(いだ)く姿は 日本一
2、北は仙台 南は東京 関の勿来(なこそ)に 舞う桜
3、みなと小名浜 三崎の空に あがる花火は 意気の良さ
4、湯本ちょいと出りゃ パノラマライン 月の丸山 湯の煙り
5、赤井嶽(あかいだけ)から 夏井の渓谷(たに)へ 呼べば若さが こだまする
6、雲よ見えるか いわきの平 燃えるつつじは 松ヶ岡
7、泣くも笑うも 幾年月の 愛の燈台 塩屋埼
8、姿優しく 浄土が池に 映す 白水阿弥陀堂
9、つづく砂浜 黒松林 おらが自慢の 新舞子
10、別れ惜しんだ 御斉所(ごさいしょ)峠 暮れて河鹿(かじか)の しのび泣き
11、両手合わせて 波立(はったち)薬師 沖に希望の 陽(ひ)が昇る
12、揃う手振りに 笑顔を添えて いわき人の和 踊りの和
歌い手は大人の方も多いのですが、中には小学生以下の方々もいらっしゃいます。ピンと張りのきいた力強い歌声を、同年代の子が堂々と披露しているのを見て、すごいなあ、あんな風になれたらいいのになあと感動するのがわたしの中での恒例行事でもありました。
いわきおどり
電話: 0246-22-7477
住所: 福島県いわき市平田町