山鉾を引かれる方々は普段から練習され、怪我のないように真剣白刃で汗をにじませて引いているので圧倒されます。観覧客はみな一言もしゃべらずじっと見守るのです。あの大きな鉾がダイナミックに動くのを見ると感動です。山鉾をじっくりと御覧になりたい方には有料観覧席も用意されています。
祇園祭の由来は?
9世紀の貞観11年に、都で疫病が流行し、庶民の間に病人、死人が多数出ました。 これは素盞鳴命の祟りだとし、そのご機嫌をとるため神をまつり、祇園社(今の八坂神社)を信仰し、病魔退散を祈願しました。
そのとき60本以上の鉾をつくり、疫病を封じ込む御霊会をおこなったのがはじまりであると伝えられています。とても歴史あるお祭りです。
応仁の乱により京都全体が大きく損害を受け祇園会の開催にも暗雲が立ち込めましたが、三十年ほど後には再開されたとのことです。ユネスコの無形文化遺産にも数えられています。
祇園祭は吉符入から神輿洗まで全体で1か月ほどの過程がありますが、一般的な認識としては祭のハイライトは1週間の間隔をあけて2回行われる33基の山鉾巡行です。付近には屋台が立ち並びとても多くの観覧客が訪れます。
祇園祭の見どころは?
はじめて祇園祭に行ったのは5年くらい前ですが、こんな街中なのに歩行者天国となって大賑わいのお祭りだな、とスケールに圧倒されワクワクしてきました。それまで地元のささやかな町内会のお祭りには参加したことがありますが、段違いでした。
また、夜の道路にぼうっと浮かび上がる山鉾はオレンジ色で幻想的な光景となります。地元の子供が櫓のところに法被を着て乗っています。写真撮影しても絵になります。京都のみならず関西から親子連れ、やカップル、夫婦、友達同士などで訪れ雰囲気を楽しんでいます。
花火などはないですが、山鉾はオブジェとしてとてもユニークで昔ながらの和の風情を漂わせています。細かくあしらわれたモチーフや金細工、紙の装飾など他ではなかなか見ることができません。
カラフルで日本風ですが、大陸から伝わってきた文化の色合いもまた溶け込んでいます。それぞれの鉾に表情があり、それぞれの地域の思い入れがこもっていると思います。鉾のそれぞれの由来には聖徳太子や京都の大火事など歴史に絡んだ機微があり調べだすと奥が深いです。
周辺の屋台ではたこ焼き、フランクフルト、ベビーカステラなどお祭りならではの食べ物、飲み物が販売され、そのほか普段レストランとして営業されているお店も特別メニューで屋台販売をしていたりといった楽しみがあります。
付近一帯は完全にお祭りムードという感じで賑わいます。外国人観光客の人も大勢来ています。駅から下りてすぐに屋台が立ち並んでいておいしそうな焼き鳥やフランクフルトの匂いがしてきて日常から非日常のフェスティバルに足を踏み入れる感じがします。
仕事終わりにふらっと同僚と立ち寄り、歩行者天国の近くの居酒屋の出すビールなどを楽しみながら歩いたこともあり、疲れが吹き飛びました。
普段歩けない車道が歩行者天国となり歩けるというのも不思議な感覚です。伝統の行事であり、同時にみんなが楽しめるイベントという側面も持っているのが祇園祭です。ただ雰囲気を楽しむだけではなく、山鉾を継承してのちの世代に継承しておられる保存会の皆様の姿勢に心打たれます。
祇園祭への交通手段は?
JRでは行きにくいですが、阪急電鉄の河原町駅や烏丸駅が近いです。だいたい大阪の梅田駅から特急電車が出ていますので40、50分くらいで河原町駅に着きます。毎年地元警察が車両通行止めや一方通行などの交通規制を敷くので注意が必要です。
祇園祭
会場:京都市の八坂神社周辺、下京区のあたり
電話:京都市観光協会 075-213-1717