2016年の10月27日、岩手県花巻市にある、大沢温泉へ行きました。夕方頃に到着、その日は自炊部に一泊しました。大沢温泉には1~2ヶ月に一度は行っていたのですが、四季折々の自然が楽しめます。混浴の露天風呂があり、夜に一時間だけ、女性専用になる時間があります。私はその時間を狙って露天風呂を満喫します。
温泉で紅葉を満喫できるのはいつ頃?
露天風呂のすぐそばを川が流れていて、川向こうにもうひとつお風呂があり、そこへ行くための橋がかかっています。橋を渡る人のために、また暗がりが強すぎないためにか、あちこち間接照明があるのですが、ぼう、と浮かびあがる川の流れを見ているのがとても気持ちがいいのです。ザー、という水の音を聞きながら入る露天温泉はたまりません。
10月下旬ごろから紅葉シーズンになるという触れ込みでしたが、この日はベストタイミングで、真っ赤なもみじが間接照明の落ち着いたあかりに照らされていました。真っ黒な川の流れにも、わずかに散った、ぎざぎざの葉が流れているのも見えます。朝晩の冷え込みが激しい花巻ですが、温泉に浸かっていればそれも忘れ、ぼんやりと休息を味わうことができます。
自炊もできる?日帰りは?
自炊部には炊事場と、ひとつだけ食堂があるのですが、私はこの食堂で、温泉のなかでもかなり偉い方と、たまたま食事をとったことがあります。混み合っていて相席でいいですよ、と言ったところ、相席になったのがその方々でした。
お話ししていると、「昔は女性専用の時間なんてなかったんだから」「何が恥ずかしいのかしら、温泉なんてそんなものよ」というようなお話しが飛び出してきました。時代の流れで、混浴が淘汰されてきていて、またワニと呼ばれる女性をじっと見るような男性も一定数いるそうで、しょうがないのかもしれませんが、昔をなつかしむお話しの端々に、古き良き時代が感じられました。
この自炊部は、建物自体もかなりの古さで、レトロな調度品など見ているだけでも心躍ります。以前、どういう衣装なのかわかりませんが、コスプレをして写真を撮っている宿泊客を見たことがあります。他にも、自炊もお泊りもせず楽しむ方法は、温泉好きな方ならご存知の日帰りの利用ももちろんできます。
湯治屋の日帰り利用は大人600円、子供300円とお手軽価格ですし、回数券も10回券もしくは、5回券の販売もあります。10回券だと4,500円、5回だと2,500円とお安くなります。朝の7時から夜の9時までの利用可能ですが、8時30分までに入湯らしいです。
数か月に何回か行かれる方は、やはり回数券がお得ですね。というか季節が変わるごとに楽しみたい、と思う方にはお手軽ご気楽温泉です。
お土産は?
売店のお土産コーナーで売られている「青なんばんみそっこ胡瓜」がおすすめです。東北地方では、語尾に○○っことつけることが多く、お茶しましょう、はお茶っこなどと呼ばれたりしています。なんだかかわいらしいですよね。お漬物好きにはたまらないお土産ですよ。パックに入っていてかさばらないので、周囲のかたへのお土産にもぴったりです。
アクセスは?
当時は沿岸部に住まいがあったので、遠野市を通過して花巻市へ入っていました。高速では、花巻南ICを下り、県道12号線で15分ほどかかります。お車のかたは、直接現地へ行くと駐車場があります。荷物が多い場合や降雨時には、宿泊する施設の前まで車で乗りつけ、荷物や運転手以外のかたは先に降りたほうがいいでしょう。
自炊部はとくに、急勾配の坂の最下部に建っています。帰りはその坂道をラクラクで歩いて帰れる、というほど、昔から湯治場として親しまれてきた温泉です。また、新花巻駅、花巻駅より無料のシャトルバスが出ているので、お車をお持ちでない観光の方でも気軽に行くことができますよ。周辺にも多くの温泉が点在しており、それぞれバスで行き来できるようにもなっているので、拠点をどこかに決めて、あちこち湯巡りするのも楽しいですね。
まとめ
紅葉もいいですが、春には桜、冬には雪見温泉が楽しめる湯治温泉になっています。自炊部はとくに料金も安く、長期滞在するかたにも優しい温泉です。浴衣やコタツ、布団など、すべて借りれば料金がプラスされる、という形態になっているため、長期のかたでは布団など車に積んで、荷降ろしからはじめる、というような湯治のしかたが古くから行われていたそうです。
温泉も豊かですが、川の流れも清く、食堂で食べられるおそばも絶品です。水のおいしいところのおそばはおいしい、と言います。本当においしいおそばの食べ方は、お水につけて食べる、というものです。ほとんどのおそばがめんつゆに味を頼っているなか、お水だけで食べられるおそば、というものをぜひ体験してみてください。
花巻市は宮沢賢治を生んだ土地、ということで、周辺には記念館やゆかりの商店もあります。大沢温泉にも、数多くの文豪が訪れたという記録が残っています。風雅な文壇の香りの立つ花巻を訪れるのも、紅葉とあわせて楽しめるプランではないでしょうか。