福島県会津若松市から電車で1時間弱の湯野上温泉。2018年9月下旬、秋分の日を含む三連休を利用して行きました。湯野上温泉は古い温泉街で、旅館や民宿など色々なタイプの宿がいくつもありますが、私が利用したのは地元でも評判の民宿と、駅から徒歩1分の便利なホテルです。
湯野上温泉の泉質は?
9月下旬の三連休は会津若松市で会津まつりが開かれることもあり、どのお宿も一週間前にはほぼ満室となっていました。民宿は二人分が朝夕食事付きで約1万7千円、ホテルは朝食のみで約1万5千円となっていました。
宿泊費とは別に温泉利用料(入湯税)がかかり、一人当たり150円です。湯野上温泉では貸切露天風呂のあるお宿が非常に多く、今回利用した民宿もホテルも、男女別の大浴場のほかに、家族やカップルで楽しめる貸切露天風呂がついていました。
民宿の方の露天風呂は最上階で屋根もなく、雲のない夜にお風呂に入ると、星空を眺めることができます。予約制ではなく、お風呂場へ行く階段に掛かっている看板を「貸切中」と「使えます」に入れ替えるだけなので、お手軽な分、誰かが間違えて表示したり、看板を替え忘れたりしていないかな、と少しドキドキしました。
それもこじんまりとした民宿らしい思い出です。宿泊人数の少ない民宿だけに、大浴場もタイミングさえ合えば一人で独占することができ、私の場合は泊まった翌朝に、朝の光がさんさんと降り注ぐ女湯を広々と使うことができました。
ホテルの露天風呂は宿泊棟の道路を挟んですぐ向かい側、切り立った崖の上にありました。入り口は道路側、お風呂は崖側にあり、お風呂から望む山と谷は非日常の見晴らしと言えます。それもスリル満点なのですが、夜は時期が時期なので明かりをつけていると色々な虫が寄ってきます。
しばらく入っていたらバッタが飛んできて、この崖の一体どこから脚力だけで飛んできたのだろうかと思いました。湯野上に湧く温泉は弱アルカリ単純泉で、強い匂いはなく、長時間入りやすい、素直な湯です。
たまたま神経性の腰痛を患っていましたが、長く浸かっていると芯から温まり、腰の痛み・冷房による冷えが緩み、リフレッシュした気持ちになれました。画像はイメージです。
観光は?美味しいものは?
温泉と絶景以外に見逃せないのは、会津鉄道の湯野上温泉駅です。日本で唯一の茅葺き屋根の駅舎で、駅の横には足湯。駅としてただ利用するだけではなく、ゆっくりと電車を待つことのできる温泉スポットの一つです。どっしりとした茅葺き屋根と、その下の白壁の可愛らしい駅舎は、鉄道マニアならずとも写真に収めたい場所でしょう。
ちなみに2018年現在、会津鉄道には5種類ほどのラッピング車両が走っていて、福島のゆるキャラや、絵本作家による童話のような絵、アニメとのコラボレーションなど可愛らしくラッピングされた車体を見ることができます。
湯野上温泉からほど近い観光地として外せないのが大内宿です。大内宿は江戸時代、徳川幕府が支配体制を確立するため、各地の街道整備に力を入れたことをきっかけに発展しました。五街道のほかに支線として使われた全国の脇街道の一つ、下野街道の宿場町として栄えたのです。
明治時代になると鉄道のような公共交通網の開発・発達から大内宿は外れますが、それゆえに近代化を免れた藁葺きの家々が昔の宿場町の面影を色濃くこの地に留めています。
大内宿で有名なのはネギ1本で食べるネギ蕎麦ですが、私がプッシュしたいご当地グルメは栃餅です。
その場で食べるもよし、お土産に持ち帰るもよし、米だけの餅とは違う、木の実らしい風味のあるお餅です。その場で食べる場合はあんこ、きな粉、ごまなどのトッピングが選べ、つきたての柔らかいお餅が楽しめます。
持ち帰ってすぐに食べない場合は冷凍庫で保存でき、電子レンジで温めたりフライパンで焼いたりして、栃餅の香りをかぐと、旅の思い出が蘇ります。
アクセスは?
この大内宿と湯野上温泉の間はバスが3種類ほど走っています。猿遊号というレトロな緑色のデザインバスが一番頻繁に走っているので、時間にも融通がきき、多くの人が使っているようです。会津バスの「塔のへつり〜大内宿」ラインは本数が少なく、猿遊号とも周遊チケットの乗り入れ・交換は効かないので、注意が必要です。
湯野上温泉
所在地:〒969-5206 福島県南会津郡下郷町大字湯野上舘本乙
まとめ
今回私が訪れたのは夏の終わり、まだ緑の濃さが残っている時期でしたが、湯野上温泉では毎年10月末から11月上旬にかけて素晴らしい紅葉で山が染め上がります。また冬は雪深く、駅舎や宿場町の茅葺き屋根に雪が厚く積もるさまは息を呑むような美しさです。首都圏や東北一円からのアクセスの良さを利用して、次はどの季節に訪れようかとカレンダーをめくる日々です。