全国的にはあまり知られていない祭りですが、地元の人たちに愛されている祭りです。転勤で高松に6年半在住しましたが、この時期になると休業する取引先もあるほどでした。都会の有名な祭りほどの混雑もなく、落ち着いてのんびりと楽しめるのもこの祭りの醍醐味です。私の場
合、運よく知人に同地区の出身者がおり、誘いを受けて、祭りに若い衆として参加することができました。重さ2トンの太鼓を引いて朝から晩まで20キロ近い道のりをくたくたになるまで練り歩くことは、自身にとって無心になれる貴重な経験で、また、地元の方との交流も面白く、
以降5年間続けて祭りに参加しました。転勤で高松を離れる際には、祭りで着用する法被を頂き、今でも宝物として自宅に保管しています。四国の香川県内の西讃地区では、太鼓台と呼ばれる煌びやかな山車を粋のいい若い衆が、勢いよく引き回すちょうさ祭りが有名です。10月頃に
なると同地区のそこかしこで毎週ちょうさ祭りが執り行われています。この粟井神社秋祭りは観音寺市の粟井神社を氏神とした住民によるちょうさ祭りです。ちょうさ祭りがこの地区で始まったのは、今から150~160年程前の江戸時代後期頃と言われています。山車の大きさや
形、金糸による豪華な装飾を見てわかる様に、もともとのルーツは京都の祇園祭や、岸和田のだんじり祭りなど関西の山車を引く祭りが伝播したのではないかと言われいています。高松市より少し離れたこの地区は、今では、多くの工場が立ち並ぶ地域となっていますが、もともとは
讃岐の漁業、農業の中心部でした。従って、この秋祭りには地区の大漁祈願、五穀豊穣を神社に祈願する意味合いがあります。粟井神社の参道に数はそれほど多くありませんが露店がでます。会場は、地区全体となりますので、非常に広域です。どこか気に入った太鼓台を見つけ、散歩
感覚でブラブラとそれについ歩くのがお勧めです。ずっと着いていくと、恐らくどこかで、声をかけられたり、振る舞い酒にあやかることになると思います。その場合は、遠慮は無用です。地元の方々と触れ合い、話を聞くのも祭りの思い出を一層楽しくしてくれるはずです。一つ
注意点としましては、公衆トイレは粟井神社境内しかなく、コンビニも付近に1件しかないので、用を足せる時にこまめに済ませることをお勧めします。期間中は、各町内の若い衆が、重さ約2トンの山車を引っ張って朝から地区中を太鼓を叩きながら練り歩きます。特に、秋晴れの日
に周辺の田園風景に煌びやかな太鼓台が溶け込む姿は、都会ではなかなみることのできない光景で、まるで桃源郷にきたような錯覚に陥ります。地元住民の方々も自分の住んでいる太鼓を批判されれば喧嘩になるほど、祭り、太鼓に誇りを持っておられ、老若男女問わず、この日ばかり
はと皆はしゃいでいます。あと、祭りの一番の見せ場は、2日目のお宮入りの際の奉納太鼓です。各町内の若い衆は、大きな掛け声のもと勢いよく山車を回したり、差し上げたりし、自分たちの町内の元気な様子を神様に表現します。個人的には、夜間の山車の巡行もお勧めです。山
車に電飾がともり、大音量で景気のいい音楽が流れたり、あまり大きな声では言えませんが、地元で親しまれているちょっと卑猥?で面白い替え歌を歌ったりしながら、疲れ切った体に勢いをつけ山車を地元の太鼓蔵まで引いていく光景は一見の価値ありです。
10月19日 午前8:00頃~ 太鼓台巡行 午後7:00頃~ 太鼓台かき比べ@農協前
10月20日 午前8:00頃~ 太鼓台巡行 午後12:00頃~ 御宮入り、奉納@粟井神社境内
アクセスは?
粟井神社及びその近辺(香川県観音寺市粟井1719-2)
観音寺市商工観光課 TEL 0875-23-3933
JR予讃線観音寺駅からタクシーで約15分。自家用車を利用する場合は、駐車場はありませんが付近に路駐ができます。
まとめ
残念なことに、年々、粟井地区では過疎化が進み、若者が減っていると同時に山車のかき手も減っています。祭りのメインの見どころとなっている奉納太鼓も町内によっては、他の町内からの若い衆の力を借りなければ太鼓台を差し上げることのできないところもあります。小さなコミ
ュニティーですので、初めは多少の壁もありますが、もしできるならば、祭りの若い衆として参加されることを強くお勧めします。実際、この祭りは参加する方が見るより100倍楽しいと思います。