青森県の夏祭りといえば、青森市のねぶた祭が有名ですが、八戸市の三社大祭も負けず劣らず豪華絢爛な祭です。「日本一の山車(だし)祭」と呼ばれており、2016年ユネスコ無形文化遺産に登録されました。この祭の起源は江戸時代に遡ります。ここ八戸地方は、北国の上に「やませ」とよばれる海からの冷風により農作物が育たず、たびたび飢饉
いつ?屋台は?
に苦しんできました。そこで、地域の有力者が法霊大明神に天候の回復と豊作を祈願したところ、無事に秋の収穫を迎えることができたのです。そのお礼として、御輿を作って捧げました。のちに、八戸藩の商人が買い入れた人形屋台や虎舞などが参加し、町の安泰、豊作を祈願する大規模な祭へと発展していきました。法霊神社に加え、新羅神社、神明宮
の三つの行列が参加するようになったことから「三社」大祭と呼ばれています。現在は、町内を中心にした27の山車組が民話や歌舞伎などを題材にして毎年新しく山車を製作し、神事としての祭の余興(附祭)として盛り上げています。毎年8月1・2・3日に開催され、7月31日前夜祭、8月4日後夜祭があり、前夜祭の7月31日からたくさんの
露店が路上を埋め尽くします。八戸市役所前は「おまつり広場」と呼ばれ山車の待機場所となるため、そこから山車が通る市内の中心街にずらりと露店が並び、かき氷やフランクフルト、焼きそば、ビールなど何でもそろうため、食べながら山車を眺めている人が多いです。歩道にはシートを敷いて見物のための場所を確保している人が多いので、露店と見
物客に挟まれた歩道は歩く隙間もないほど混雑しています。8月1日は「お通り」と呼ばれる運行の初日です。15時から18時30分ごろまでかけて市内中心部を練り歩きます。神事ですので、各神社の行列が伝統的なスタイルで厳かに行われます。騎馬行列、神楽、虎舞などに続き、27台の山車が華を添えます。8月2日は「中日(なかび)」と呼
ばれ、18時から始まる山車だけの夜間運行です。ライトアップされた山車が、昼間よりも鮮やかに夜空を照らします。8月3日は「お還り(おかえり)」と呼ばれ、15時からそれぞれの神社に還るかたちで運行していきます。初めてご覧になる方は、有料観覧席、もしくは表通りに場所を確保し、そこで一通り観覧することをお勧めします。山車だけで
なく、神社の行列や虎舞などの多彩な郷土芸能も楽しめますよ。
レンタルもいいね!引き子参加可能?
なんといっても見どころは山車です。各山車は、だいたい幅4.5m、高さ4.5m、奥行き11mに収まるように作られますが、「見せ場」に来ると仕掛けによって高く広く広がりを見せ、幅8m、高さ10mにもなり、煙を吹いたり人形が動いたりして観客を沸かせます。山車を作るのは町内の有志で素人たちですが、発泡スチロールで作られているとは思えない
ほどの造りの細かさ、本物の着物を着せられた人形など、その美しさと迫力には圧倒されます。山車製作には、作り手のこだわりとプライドはもちろんありますが、賞があることもまた、作り手を燃えさせているのです。さらに、各山車組の大太鼓、小太鼓、笛といったお囃子、ヤーレヤーレの掛け声とともに山車を引く引き子などが祭のムードを盛り上げ
ています。ねぶた祭のような躍動感はないかもしれませんが、雅な雰囲気が感じられる伝統的な祭です。私の父が山車製作に長年携わっており、毎日遅くまで山車作りをするのは大変じゃないのかなと思いますが、八戸の伝統的な行事を盛り立てているという誇りを持っているようです。私自身も子どもの頃は、引き子や笛などでお祭に参加していました。
真夏の日差しの中を歩き続けるのはつらく、小さい頃は帰りたくて泣いてしまった思い出もあります。それでも、山車組ごとの浴衣を着て参加することは誇らしく、楽しいものでした。山車組によっては浴衣の有料レンタルで引き子などの参加もできますよ。見るだけでなく体験もしてみませんか?
アクセスは?
会場は、市役所=おまつり広場の住所をお伝えします。青森県八戸市内丸1丁目1-1です。お問い合わせは、八戸観光コンベンション協会へ。電話番号0178-41-1661東京から八戸駅まで新幹線で約3時間。そこからJR八戸線に乗り換え、10分ほどで中心街に近い「本八戸駅」に着きます。本八戸駅から市役所・中心街までは徒歩10分ほどです。八
戸駅から車(タクシー)で、中心街まで15分ほどですが、この時期駐車場を見つけることは難しいです。中心街を越えてさらに徒歩10分ほどの場所に「長根運動公園」があり、そこが期間中有料臨時駐車場となっていますが、そこでも混雑が予想されます。シャトルバス等はありません。中心街は山車が通るために通行止めになっており、迂回しなけ
ればなりません。電車かタクシーを利用したほうがスムーズでしょう。ちなみに、八戸駅付近には特に何もないので、宿泊をお考えの場合「本八戸駅」付近のホテルを探すことをお勧めします。
まとめ
ぱっと見たところ、どの山車も似ていると思うかもしれません。路上では山車の紹介アナウンスも流れていますが、周りの騒がしさや風向きなどによって残念ながらあまりはっきりとは聞こえません。市役所や観光案内所などでパンフレットを手に入れて、山車の「予習」をしてみてください。どんなストーリーが描かれているのかを知るだけで、山車を見る楽しさが数倍違うと思います!