通常、節分は、「鬼は外ー!」「福は内ー!」と鬼に豆をぶつけて、あっちいけー!って感じですよね。悪除け、魔除け的な。イベントとかで鬼役の方に豆をぶつけるのも、楽しいような、悲しいような気がしてました。ですが、この節分祭は違うんです。とてもやさしいお祭りでした。
優しいお祭りって?
阿蘇神社節分祭は、鬼を追い払いません。鬼を招いて慰め、大人しく帰ってもらうという、全国でも珍しい節分の行事が行われるお祭りです。鬼を招くというのは、京都の吉田神社から伝えられたと言います。鬼たちを招き入れる仮の建物が作られます。仮の建物は「葦塚(あしつか)」と呼ばれ、カヤ
で円錐状に組まれます。そして、豆の代わりに護摩木がまかれます。護摩木は例年2000本もまかれるので、なかなか壮観です。護摩木は持ち帰ることができます。露店は出ません。そうした意味では地味なお祭りですが、地元住民には毎年心待ちにされているお祭りです。その年の無病息災を願う機会
になるからです。節分祭では神職が祝詞を奏上した後で、護摩木がまかれます。2019年は当日が雨だったため、屋内で護摩木がまかれましたが、例年は屋外で勢いよくまかれます。まかれた護摩木を、集まった人たちが群がって拾います。毎年2000本もの護摩木がまかれます。拾った護摩木は、持ち
帰ることができます。その護摩木で炊いた火にあたると、その年は家族全員が無病息災でいられると信じられています。普段は、庭で物を燃やすことはできませんし、もし燃やしたら、隣近所から苦情が出ますが、阿蘇神社の節分祭で頂いた護摩木なら、逆にありがたがられます。庭で護摩木を燃やす
いつ?何時から?
時、隣近所が護摩木を拾えなかった場合は、声をかけてみんなで火にあたるのが習わしです。 2月3日 午後5時~6時行われます。護摩木を拾った年に、家族が風邪以外の病気に罹ったためしはありません。商売をしている家の場合は、商売繁盛のご利益もあると言われています。阿蘇は観光業が盛んな土
地なので、自営業で観光客相手の商売をしているところも少なくありません。そうした家では、必死の形相で護摩木を拾います。中には、家族総出で護摩木拾いに臨む家庭もあります。阿蘇神社は、阿蘇地域で一番立派な神社です。地域に根ざしており、熊本地震で被災した多くの神社が復興ままなら
ぬ中、阿蘇神社はなんとか復興の途上にあります。また、近年はパワースポットとしても人気を集めています。節分祭は、阿蘇神社の催しの中でも地元住民との密着感が強く、毎年、楽しみにしているお祭りです。鬼を邪険に追い払わないというのがユニークで、「鬼は外!」の掛け声が今ひとつ抵抗感
があるという子供に、馴染みやすい行事です。我が子が小さい時、「追い払われた鬼さんはどこに行くの?」と尋ねられ、答えに窮したことがあります。それ以来、阿蘇神社の節分祭に行くようにしました。「ここでおもてなしをしてもらって、鬼さんも悪いことを止めようという気持ちになって、鬼
さんの国に帰って行ったんだよ。良かったね。」と話したら、我が子が納得してくれたからです。葦塚は、カヤでふかれます。カヤ葺きの建物を間近に見られる機会でもあります。お祭りの後で葦塚は解体され、そのカヤも配られます。そのカヤも自宅に持ち帰って飾っておくと、良いことがあるとされ
ています。我が家では、カヤを組み合わせて、ちょっとした飾りにして翌年まで飾っておきます。神さまから守られているという気持ちになれます。
アクセスは?
蘇神社節分祭は、阿蘇市一の宮町宮地 阿蘇神社で開催されます。
お問い合わせは、0967-22-0064です。
阿蘇市一の宮町宮地の「宮地駅」から徒歩15分のところに阿蘇神社はあります。産交バス「阿蘇神社前」下車です。交通規制は特にありませんが、臨時バスは出されません。付近に駐車場があるのは、肥後銀行宮地支店です。「阿蘇神社前」の近くに給油所があります。専用駐車場は、普通車50台程
度ありますが、来客通常より多めなので、念頭に置いて、ご来場ください。
まとめ
阿蘇神社は近年、パワースポットとしても注目されるようになりました。パワーを地元住民が年の始めにもらえるのが、節分祭です。節分祭には、県内から広く参拝に人々がやってくるようになりました。阿蘇神社の節分祭は、鬼を追い払わないということで、全国的にも珍しいお祭りです。「追い払っ
た鬼がどうなるのか?」という事に子供が興味を持つようになったら、その疑問に答えられる行事です。