もともとは榎本潔さんという方の奥さんが、百貨店に自分の作った雑貨を出品しようとしたものの何かと制約が多く、それならば自分たちで店を出そうと、1987年に知恩院で青空市を開いたのが始まりだそうです。口コミで徐々に人気が広まり、今では抽選で選ばないといけないほど多数の出店応募だあるのだそう。フリーマーケットって普通は公民館や広いショッピングモ
クォリティー高い
ールで開くイメージですが、お寺で開催するというのがなんとも京都ならではという感じですね。縁日みたいな独特の雰囲気でおもしろいです。「てづくり市」とは、いわゆる「手作り品限定のフリーマーケット」ですが、てっきり素人さんが持ち寄った雑貨や洋裁品ばかりが売っているのかと思うと、そうではありません。市販ではなかなか買えないような職人の一点モ
ノ、プロの雑貨クリエイターが作ったデザイン性の高い商品などもたくさん売っていて、全体的に品質が高いです。遠くからこのイベントのために足をのばす人が多いのもうなずけます(私もその一人です)。地域密着型のお祭りかとおもいきや、京都以外から出店する方も結構おられるようです。当日は知恩院の境内に所狭しと露店が軒を連ね、なんと一日1万人ものお客さんが
いつ?どんなお店が出る?
訪れるのだそう。「百万遍のてづくり市」は、毎月15日に開かれます。売っているものは多岐にわたります。ハンドメイドの一点ものだけに、ここでしか買えないような珍しいものもたくさんあり、見ているだけでも楽しいです。多かったのは、革製品や、京都らしい着物の生地を使った鞄や洋服、職人さんの作ったお箸や陶器など。印象的だったのは、桜の盆栽。家の中で
花見ができる!とつぼみのついたものを買って帰りました。見事に家の中で満開を迎えましたが、花が落ちたあとは私の不注意で虫がついてしまい、あえなくご臨終になったのも良い思い出です。市内に店舗を持つようなパン屋さんやお菓子屋さんも出店します。人気のお店だと結構早い時間に売り切れてしまうこともあるようです。他にもお漬物や、鴨のロース肉なんて珍
しいものまで売ってまいて、本当にちょっとした市場のようです。閉会間際の時間になると、食料品などは値引きしてくれたりおまけをつけてくれたりしてお得です。
アクセスは?
京都市左京区田中門前町103 知恩院075-771-1631電車で行くなら京阪電車を使って「出町柳駅」が最寄り駅です。京都大学のある駅と言ったら分かりやすいでしょうか。そこから歩いて10分ほど、静かな路地裏にあるお寺です。JR京都駅から市バス(206,17系統)も出ていますし、阪急京都駅からも市バス(201,31,17,3系統)があります。どちらも停留所「百万遍」が最
寄り駅で、そこから徒歩3分ほどで着きます。
まとめ
日本全国フリーマーケットは多数ありますが、百万遍のてづくり市はどこか独特の魅力があります。一つは、出品を手作り品のみに絞っていること。手作り以外のものが出品されていたら、即刻退場だそうです。イベントのコンセプトをシビアに守っていることが、何十年も続けられる秘訣なのかもしれません。もう一つは、開催地がお寺であるということ。歴史と伝統あ
るお寺という場所にはどことなく品位と安心感が根付いています。まるでお祭りの縁日に遊びにいくような懐かしさがありながら、決して排他的でなく、京都以外のお客さんも温かく迎え入れるような空気がありました。総合的な感想としては、何よりお店の人との交流が楽しかったです。普通のお店での買い物よりも、買い手と売り手の距離がずっと近いのが魅力だと思い
ます。しつこく売り込んでくるような失礼な人はいませんし、こちらが質問すれば親しげに説明してくれて、人の温かさを感じます。ネット通販が主流になった今では忘れられがちな、売り買いの熱気というものを感じられました。画像はイメージです。