新宮市は母の郷里なんです。お祭りのあるその時期に帰省していることが多いので、年に一度の浴衣を着る機会として参加しています。由緒ある神社で古くから催されているお祭りということもあり、興味を持ちました。熊野速玉大社は熊野三山の一つであり、世界遺産にも登録されています。
お祭りのハシゴ?楽しみ何倍?
開催日の7月14日は、那智勝浦町の熊野那智大社でも「扇祭」があり、こちらは「那智の火祭り」の名で通っています。かたや「火祭り」かたや「扇祭り」。おそらく、起源は同様の祭りだったと思いますが、現在では色合いの違うお祭りです。熊野那智大社では大きな松明(たいまつ)が出ますが、熊野速玉大社では、扇を飾ってお祭りします。速玉大社が所有する国宝の
檜扇(ひおうぎ)11握(あく:檜扇を数える単位だそうです!)が、祭りの数日前から蔵出しされ、祭りの準備をします。とても大きいもので、四季折々の花鳥模様が描かれた美しい扇です。とは言っても、使われるのは複製品だそう。昭和39年に当時の宮司さんが模写して作ったのだとか。宮司さん、そんなことも出来るんですね。当日は夕方から本殿で祭事が行われ、巫
女さんが優雅な舞を奉納します。それから、境内にいくつかある社殿のそれぞれの前に扇が掲げられます。主に地元の人に向けたお祭りですが、祭事中の本殿前には、他所から来たのだろう人の姿も見られます。境内には出店が立ち並び、地域の子どもたちが集まって賑やかでアットホームな雰囲気です。浴衣の女性も多く訪れます。中には熊野那智大社のお祭りとハシゴす
あなたもコンプリート?
る人もいるとか。当地唯一の地酒「太平洋」を作っている尾崎酒造さんによるふるまい酒もあります。特設ステージでは、地元出身の演歌歌手を呼んでのステージや、浴衣でのミスコンテストも行われます。出店の内容は、定番や流行りものが一通りという感じです。そう大きな規模のお祭りではありません。子どもたちで賑わうので、混雑を避けるには、正面の鳥居を避け
て、横の駐車場から入る手もあります。尾崎酒造さんのふるまい酒は、定番の太平洋だけではなく、女性にうれしい梅酒などもあります。日本酒好きにとって朗報なのは、最近ラインナップに増えたのか、太平洋の山廃があったこと! いつもあるのかどうかは分かりませんが、とても美味しかったので、定番にしてほしいですね。ミスコンテストのミスの美しさは、年によ
ってばらつきがある感じもしますが、ある年のミスは大変綺麗で感動しました。輪郭の美しいこと、色の白いこと。祭りの名前、神社の名前、御神木の名前にちなみ、「ミス扇」と の他に、準ミスの「ミス速玉」「ミス梛の木」などが選ばれます。地元出身の歌手のステージも、客席との交流を交えながら和やかに盛り上がっています。祭りのメインである扇は、社殿を囲
む格子の隙間からそっと見る感じです。この扇の絵が描かれた絵馬を、拝殿向かいの授与所で買うことができます。絵柄は年がわりです。コンプリートには何年もかかるということですね。もちろん祭りの日以外にも授与されています。私は毎年買って、部屋に飾っています。雅な気持ちになれるオススメの授与品です。
アクセスは?
和歌山県新宮市にある熊野速玉大社の境内目指して向かいましょう。熊野速玉大社へのアクセスは、電車か車です。新宮駅からはやや離れるので、車が多いでしょう。イベント時にはすぐ横の河原が駐車場として開放されますが、混雑します。地域の人が歩いて訪れるような雰囲気のお祭りです。
まとめ
ちなみにこの扇立祭と那智の火祭り、かつてはかの有名な「かなまら祭り」のような、スゴーイお祭りだったという話を聞いたことがあります。そもそも扇とは、檳榔樹(びんろうじゅ:ヤシの木)の葉から作られたのが始まりという説があり、このヤシの木の形というのが、茂みからだらりと下がるイチモツを表現したとかしないとか。そういう説もあるんだそうです。生
命力の象徴といった意味ですね。とはいえ、現在はどちらもとっても格調高いお祭りなので、そんなことをうっかり言ったら怒られるかも。これくらいにしておきます。