戸出地区の七夕は、元々は男の子のいる家庭で、子供の健やかな成長と健康を願って七夕飾りを作り、家庭の軒先に七夕飾りを出して親戚一同集まり祝うという行事でした。この地域では七夕は男の子の行事だったのです。現在のような商工会と地元住人が協力し地域の一つの催し事としての「戸出七夕まつり」が始まったのは1963年のことです。以後50年以上にわたって戸出では毎年7月の節句に合わせてこの祭りが開催されており、地域の一大イベントとなっています。
戸出七夕まつりのみどころは
この七夕祭りの見どころは、大きな七夕飾りです。戸出地区のメインストリートを中心に祭りは行われるのですが、このストリートは旧北陸街道であり、(戸出は古くからの宿場町でした)道路は当時の街道を偲ばせるような幅の狭い作りになっています。その狭い道路の両脇に商店や住宅を悠々と超す高さの大きな七夕飾りが連なっているのです。
さらに竹は多くの飾りで装飾されその重みで竹がしなるため、飾りが内側に垂れて七夕飾りのトンネルが出来上がり、間近に感じて、人々はそのトンネルの中をゆっくりと歩いて下から大きな七夕飾りを見上げます。子供のころはその大きな七夕飾りたちに圧倒されたものでした。さらに夜になれば竹につけられたたくさんの赤提灯が中に入っている電球に灯され何とも言えない幻想的な空間が生み出されるのです。もし祭りに参加される方がいれば、絶対に夜の祭りを見てもらいたいと思います。
戸出七夕まつりは夜も楽しい
祭りの期間中に「街流し」というイベントがあるのですが、(七夕祭りのメインイベントです)街流しは7月6日の夜、小学生の女の子や町内のご婦人たちが戸出の町の中を民謡に合わせて踊りながら廻るというものです。この時流れる民謡の歌詞は一般公募によるもので、オリジナルの地域民謡です。私も毎年この街流しに参加していました。
年齢が上がるにつれ踊りは恥ずかしくなり、女子はおませになっていきます。みんなキャイキャイしていました。普段しないような髪型と浴衣姿をクラスの男子たちにアピールしたいと思うのは当然のことです。
私の姉さんは人気がありましたので彼女の同級生の男の子たち何人かが姉さんを見に来ていたのをよく覚えています。残念ながら私はそのようなことはなかったです。好きな人にいつもと違う自分の姿を見てもらいたいとか、いつもと違う何かが起こればなと妙な期待は沸きますが、なぜかどうでもよい男子にだけ会い「あ~○○(私の名前)や~」とからかわれていたような気がします。それでも声をかけてきてくれる人がいるのはいいことかと考えれるほどまだ大人ではなかったです。結局真面目だった私は最後まで踊りをさぼらず歩いているだけでした。街流しが終わった後配られるご褒美(お菓子)や祭りの屋台廻りを楽しみにしながら。
中学生になってからは、わざわざ着飾ってまで祭りに凱旋しに行くほどの意欲と積極さは到底なく、それ以降七夕祭りに参加することもなくなっていきました。
最近では私が子供のころに無かったイベントも行われるようになって祭りは常に新しくなっているようです。それでも古くからの風習は引き継がれているようで、今でも男の子が生まれた、もしくは男の子がいる商店や個人宅前には金太郎や武者の絵が描かれた行燈をつけた七夕飾りを見ることが出来ます。
今では男の子に限定せず子供全体の健やかな成長を祈願して飾る家庭も多いです。民俗行事であった七夕祭りが商店街イベントへ変わっても子供の成長を願う地元住民が主役であり、祭りもどこかほっこりとし手作り感満載なのは今も昔も変わらないようです。また子供のころのように七夕祭りに参加したいです。
戸出七夕まつり
住所:富山県高岡市戸出町 戸出町一円 メイン会場:戸出商工会館前
電話:戸出七夕まつり実行委員会 高岡市商工 0766-63-0792
私も七夕飾りのトンネルくぐってみたいです!素敵な夏の思い出、ありがとうございます。