紅葉スポットとしてはかなりマイナーな部類に入るかも知れませんが、私が晩秋によくトレッキングに出掛ける神奈川県葉山町の森戸川渓谷沿いも、意外と色付いた木々の風合いが綺麗なのです。
森戸川渓谷で紅葉を堪能
関東南部の半島エリアとあってシーズンは比較的遅く、11月下旬頃でも十分楽しめます。私が去年出掛けたのもちょうどその頃の日曜でした。逗葉新道に続く県道311号線に別れを告げ、森戸川沿いに広がる閑静な住宅街をしばらく歩くと、次第に左右から深い森が迫り、やがて林道の入り口を告げるゲートに到達。
と言っても脇から歩行者が通り抜けられる様になっており、ハイカーは気にせず通過していきます。ふとその傍にある張り紙を見てビックリしたのは、何とイノシシ出没の注意書き。どうやらこの時期にも餌を求め徘徊している様で、こんな半島エリアにまで勢力を伸ばしている事を知ったのは、これが初めてでした。
とは言え注意して歩いていれば大きなトラブルには至らないだろうと楽観的に考え、気にせずそのまま進む事に。日曜とあって道中は結構人が多く、カップルや子供連れ、団体等、様々なハイカー達とすれ違います。清々しい空気の美味しさも手伝って気軽に挨拶も出、自然と良い気分になります。並行する森戸川の護岸が完全に消え、すっかり天然のせせらぎを取り戻す頃にはいよいよ森も深く、天然の雑木林らしいさ様々な色どりの紅葉を見せてくれる様になりました。
決して派手では無いものの、常緑樹の中に時折現れるモミジのオレンジやクヌギ・コナラ・ケヤキの黄色が美しく、葉が落ちかけた枝の向こうに見える青空とのコントラストも秀逸。遊歩道の行き止まりには幾つか古いベンチが置いてあり、そこで遅い昼食を取りつつ、時折上空からひらひら舞い降りてくる木の葉をしばし堪能していました。
スケジュールに余裕があれば、更に奥の山道へと進む事も可能でしたが、時間も体力も無い私には無理と判断。今度は来た道をゆっくり戻り、次第に傾いてゆく秋の木漏れ日を浴びながら紅葉と青空を楽しんだのでした。
森戸川渓谷は諸信者でも大丈夫
森戸川渓谷は三浦半島の中でも最も豊かな自然が残されている秘境エリアとして知られ、夏場にはサンコウチョウ等の珍しい鳥類も見られると、バードウォッチ目的で訪れる人も多いそうです。私が出掛けた時も何か見られないかと双眼鏡を下げながら歩いたのですが、残念ながら珍しい鳥は見られず、もっぱら遠くに色付いている木々の種類の確認の為に使っていました。
前に書いた通り、遊歩道は渓谷の途中で終わっていますが、その先は更に険しい山道が尾根伝いに続き、その先はいわゆる三浦アルプスを越え、対岸・東京湾側の田浦緑地方面にまで続いています。丸一日行動可能で健脚持ち、また本格的な登山の経験やスキルを持っている人なら、これらの山道を使い相模湾から東京湾まで半島横断にチャレンジしてみるのも良いのではないでしょうか。
アクセスは?
森戸川渓谷の入り口なら、京急あるいはJRの逗子駅から路線バスでアクセス可能。ただ1日じっくりと歩きたいのであれば路線バスは止め、あえて時間を掛け徒歩でアクセスするやり方もあります。渓谷の入り口に至るには、途中県道311号線を折れ、森戸川沿いに向って南に見える山林を目指す必要がありますが、これといった目印や標識も無く、途中道に迷ってしまうケースもあるかも知れません。
逗子市街方面から歩いて来た場合、道中に現れる十字の川久保交差点が最も大きな目印。ここを右に曲がり、森戸川の流れに沿って歩いてゆけば辿り着けると思います。万が一道に迷ったとしても、周囲に何軒かコンビニがありますから、飲食を買いつつ道を尋ねてみるのも良いでしょう。
まとめ
秋冬シーズンはそれ程でもありませんが、初夏をメインにサンコウチョウやオオルリといった珍しい鳥類が観察出来る貴重なスポット。トレッキングやハイキングの他、バードウォッチング好きの人にもお勧め出来ます。また遊歩道最後の行き止まり付近からは双子山方面にも山道が伸びており、こちらは南郷上ノ山公園に続いています。この公園には無料駐車場もありますから、マイカー利用ならこちらに車を停め、渓谷にアクセスするという手段も取れるでしょう。